もう一つのワールドカップの話

 ワールドカップが終わった。決勝はクロアチアを応援していたが、さすがに最後は力尽きた感。左サイドの守備頑張ってましたが、ミドルシュートも強烈なのねムバッペ。

 ハリル監督解任により就任した西野監督の前評判が酷かった我らが日本も、本戦では見違えるような素晴らしいチームとなっていた。ベルギー戦の乾選手の2点目の無回転シュートが個人的なハイライトでしたが、帰国後TVで「強く蹴ったら無回転になりました。完全まぐれです。」と言ってて好感。素直は美徳だ。

 ちなみにワールドカップは外国籍指揮官が率いる国が一度も優勝したことがないというジンクスがあるらしいので、是非いつの日か名波浩を!

 FIFAワールドカップといえば、ナショナルチーム同士の「国」と「国」との魂のぶつかり合いなのだが、今回取り上げるのはCONIFAワールドカップというもうひとつのワールドカップ。この聞き慣れない大会のことは、FIFAのランキング眺めたりしながら出場国のことなどを調べているうちに、CONIFAのことを扱った木村元彦さんの記事を発見したのがきっかけで知ることとなった。

 CONIFA(独立サッカー連盟)とはFIFA(世界サッカー連盟)に加盟できない、あるいはしようとしない地域や民族のサッカー協会が集った連盟。2014年より始まった大会は、固有の領土を持たない民族、迫害などにより国を追われた先住民族、属している国と自らのアイデンティティーが合ってない、そういう人々のためのサッカーの世界大会である。

 開催地も独特で、2014年の第1回がサーミ人である会長のペール・ブランドの暮らすスウェーデンの土地サープミ。2016年の第2回が、グルジア(現ジョージア)から独立宣言するも国際社会には認められず、孤立を余儀なくされている旧ソ連のアブハジア。そして2018年の第3回は、イギリスはロンドンで行われた。ホストは イギリスにコミュニティを持っているブラバサッカー協会で、これはアフリカのソマリア南部を出自とするブラバ民族の人々のこと。

 参加チームはアブハジア、北キプロス、チベット、パンジャブ、カルパティア、カビリアなど。日本からは在日コリアンの代表チームであるUnited Koreans of Japanが出場。さすがにチベットはわかったが、今回調べなければ、おそらく知ることがなかったであろう国や民族ばかりだ。

 ただ、例えばカリビアはアルジェリア北東部辺りに住むベルベル人という人たちのチームだそうだが、 カビリア出身のサッカー選手にはあのジダンやベンゼマ、ナスリらがいるらしい。カビリア恐るべし。知る知らないの境目は多分ちょっとしたことなんだろうと思う。

 開催ごとに規模が大きくなっているCONIFAワールドカップだが、実際はやっかいな問題も数多く起こっており、今年の優勝国であるカルパタリアの出場選手が、所属するウクライナのサッカー協会から除名されたり、前述のカビリアの選手は、出場に当たってアルジェリア当局からさまざまな脅しを受けたらしい。

 色んな意味で興味が尽きないCONIFA。試合の映像などはさすがにあまり出てこなかったが、検索してみると案外現地で観戦した方のBLOG記事などがヒットするので、興味がでた方は是非。FIFAと同じく政治的メッセージを禁止しているため、写真などから伝わってくる現地の雰囲気は、その他のサッカーの大会とあまり変わらない。サッカーが国際的なスポーツであるということがよくわかった瞬間だった。

shirakawa

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